仕込みさんに入って、毎日毎日お母さんからいろんなことを教えていただく中で、最初の課題がお箸の上げ下ろしでした。屋形にはいって、用事を覚えるより先にまずは毎日のごはんですから。私は心強いことに同じ家にもう一人仕込みさんがいて同期として、まるで双子のように大きくなりました。私は握り箸で、彼女は左利き(笑)。毎回のごはんの時に、お母さんに丁寧に教えてもらうのですが、癖のものですからなかなか大変でした。そんなん気にしていたらご飯の味もわからへん。使えるならいいやん!って正直ちょっぴり思っていて(笑)。
でもその時にお母さんが、なぜ直さなくていけないのか諄々と説いてくださって。「舞妓さんに出たらな、お客様の前で一緒にごはんよばれんならんときもあるし、お取り分けせなあかんときもあんのえ。そのときにおかしなお箸を使い方してたら笑われてしまうやろ。そやさかいに今の間に直しとかんと。」・・・ああ、それは直しとかな・・・と子供心に納得。どうにかお店出しまでには間に合ったのでした。あとご飯を早く食べること、お風呂に早く入ることも、まず教育してもらいました。昔なら家や学校で当たり前に教育されていたことが、私たちと時代ぐらいから個性や、自由という言葉でなおざりにされ始めていて、屋形のお母さんは教えることが10倍、いや、もっと増えたのではないでしょうか。
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